第22回チャペルコンサート
2008年 8月14日更新
日時・場所 | 2008年 7月13日(日)午後3時から、取手聖書教会にて |
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ゲスト | 岩渕まことさん・由美子さんご夫妻 |
今年も多くの皆さんがおいでくださいました
去る7月13日(日)。梅雨の合間の蒸し暑い午後でしたが、22回目のチャペルコンサートが行われました。 昨年に引き続いて、おいでいただいたシンガー&ソングライター岩渕まことさん、由美子さんご夫妻。
拍手に迎えられての第一曲は、花の詩画集で著名な星野富広さんの詩に、岩渕さんが曲をつけて歌い、昨年発売されたCD「ぺんぺん草のうた」から「プリムラ・オプコニカ」。
花の鉢をひとつ 買いましょう
そしてふらふらと 回り道でもして帰りませんか
となりの村の 信号機のところまで
もう春が来ているらしいですよ
軽快でおしゃれなメロディーが心地よいナンバー。
暖かな拍手に迎えられていよいよ開演!
二曲目は31年前、岩渕さんがシンガー&ソングライターとしてコロンビアレコードからデビューしたときのアルバム「スーパームーン」から「ハンバーガーショップ」。 アップテンポのメロディーと「ワンバスケット・アップルパイ プリーズ!…」といったマクドナルドことばの歌詞に、気分は一気に80年代!
プロフィールにもあるように、岩渕さんは80年代の「劇場版ドラえもんシリーズ」のエンディング曲を担当。 その中から、「のび太の海底鬼岩城」のエンディング「心ゆらして」を披露してくださいました。
やっと気づいてくれたのですか
昨日おとして しまったものを
それが何だかわかりませんが
とっても大事なものだと
あわてて追いかけても 手を伸ばしても
昨日は遠くて 届きはしません
心をゆらして 心をゆらして探せばいいのに
心をゆらして 心をゆらして見つけて下さい
この作詞者はかの武田鉄也氏。あたふたと現実に追われ、大切なものを無くしたり、忘れたりする私たち自身の心を、ふと見つめさせてくれる名曲。
小学生のときに不登校を経験した岩渕さんが、ようやく学校に行けるようになったご褒美に買ってもらったプレゼントがギターだったそうです。 このギターとの出会いが、後のシンガー&ソングライター岩渕まこと誕生につながっていくのですが…。 そんな経験をお持ちの岩渕さんですから、友人のお嬢さんが不登校になったという知らせは心痛むことでした。 そんな彼女に届いて欲しいと願って作られたのが「帆を揚げて」。
悲しみの湖で 足をぬらした少女は
笑顔の記憶無くし ひとみを閉じたまま
ため息が友だちと さびしそうに笑った
少女は部屋の窓 今日も閉じたまま
時が過ぎることで 救いになるのかい
君を見つける旅にいっしょに出かけないか
帆を揚げて 帆を揚げて
風をよんで 風をよんで
帆を揚げて 高く揚げて
風を呼んでみないか
岩渕さんの軽妙なMCもコンサートの魅力の一つ
岩渕さんのうたには、心に痛みや寂しさを抱える人へのエールがこめられています。 仕事に追われ、行き場をなくしたお父さんたちの応援歌のつもりで作った「横丁のジーザス」。 ユーモアとペーソスに満ちたその曲がきっかけで、星野富弘さん(脊椎損傷で首から下か動かない体で、口に絵筆をくわえ絵と詩を綴るアーティスト)と出会い、星野さんの詩に岩渕さんが曲を書き歌うCD製作のプロジェクトが誕生しました。 その中でも特に人気の高いのがアルバムタイトルにもなった「ぺんぺん草のうた」
神様がたった一度だけ
この腕を動かしてくださるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
風に揺れる ぺんぺん草の実を見ていたら
そんな日が本当に来るような気がした
こんな、人の心をふるわせる詩を書かれる星野富弘さんですが、根がなかなかのユーモアの持ち主とか。その星野ユーモアが遺憾なく発揮されたのが「メン類・シクラメン」。
そばがすき
うどんがすき
ラーメンもすき
メン類は みんなすき
そんなわけで シクラメンもすき
80年代ポップスを思わせる切ない曲調と歌詞とのギャップがたまりません! ついには岩渕さんに促されて『そばがすき うどんがすき ラーメンもすき♪』の場内大合唱! 歌い終わったとたんに、拍手と大爆笑が起こりました。
さまざまな方との出会いの中で、広がっていく岩渕さんの歌の世界。 昨年は拉致被害者家族の横田早紀江さんとお会いし、拉致被害者 横田めぐみさんの歌を作る機会が与えられました。 事件の悲惨さに圧倒され、なかなか筆の進まなかった岩渕さん。 そこで早紀江さんご自身に、詩をお書きになるよう勧めたところ送ってこられたのが「コスモスのように」という歌。
ふわふわとゆれているコスモスに
ほら!めぐみちゃん トンボが とまろうとしているよ 今年も…
コスモスって何だか弱々しく ゆれている花なのに
ほら!お母さん お母さんが育てたコスモスって
茎が太く 花も大きくって 風にもゆれないよ
ふわふわと ゆれているコスモスに
ほら!めぐみちゃんトンボが とまろうとしているよ 今年も…
速い空の向こうにいる めぐみちゃん あなたも
お母さんが育てたあのコスモスのように
地に足をふんばって生きているのね きっと
しっかりと頭を揚げて生きているのね きっと
ニュースで知らされている横田早紀江さんの“母”としての切ないほどの思い、そして信仰者としてけして失望しない強さ。 同じ、母として、信仰者として生きる由美子さんの歌声に、会場のあちこちで目頭をハンカチでぬぐう人たちの姿が…。
今回は、由美子さんの歌とMCもたっぷりお聞きできました
母として由美子さんも大きな痛みを抱えていました。長女亜希子さんを、8歳で脳腫瘍で天に送ったこと。 当初気丈にしていた由美子さんを、葬儀が終わってから、母として娘の病気に気づけなかった後悔と自責の念が襲ってきました。 その辛さにつぶされそうになり「こんな自分は生きていてはいけない」とまで思いつめたそうです。
「そんなときに神様が『もう自分を責めなくていい。あなたが赦された者として喜んで生きることが出来るように、私はひとり子イエスを十字架につけたのだから。』と声をかけてくださった気がしました。 娘を失った自分の悲しみのなかで、その私の悲しみを癒すために、わが子イエスを十字架にかけてくださった父の愛が改めてわかったのです。」]
そう話されて、お二人で歌ってくださったのが「父の涙」。
心に迫る父の悲しみ
愛するひとり子を十字架につけた
人の罪は燃える火のよう
愛も知らずに今日も過ぎていく
十字架からあふれ流れる泉
それは父の涙
十字架からあふれ流れる泉
それはイエスの愛
実は由美子さんは4年半前に乳がんを経験されました。その治療の中で、落ち込んでしまう由美子さんへの励ましつもりで、まことさんが作ったのが「誰かが鐘を鳴らしてる」。
町を歩けばひとりぼっち 天涯孤独の旅人
何がなくても 何があっても 怖いことはない
…
今日まで生きてきたんだ 明日はもう目の前
誰かが鐘を鳴らしてる 聞こえてるはずさ
ディンドンディン 鐘が鳴る
ディンドンディン 鐘が鳴る
ディンドンディン 鐘が鳴る
鳴り止むまで生きていくんだ
心弾む魅力的なメロディーと、暖かな人の心への共感。これこそが、岩渕まことの世界です。
演奏が終わってもなかなか拍手は鳴り止みません
天国の希望を歌った「ヘブンリー」に続いて、いよいよラストナンバーは、信仰者の生き方を、天国への列車の旅にたとえて歌い上げる「永遠鉄道」。
車輪は踊りだし レールは歌いだすよ
この列車は走る 永遠鉄道
生まれたこの街に 長くとどまりすぎた
愛ということばにかけて旅立つ
人は心満たすものを探し 嬉し悲しくり返し数え
行くあて知らずに走り続けるv
悲しみの谷間も 喜びの草原も
何もかわらない 恵みの大地
君の心にある 誰もいないホームに
この列車の音が 聞こえてこないか
目指す街は永遠の都 君の家もそこにあるさ
さあ扉を開けて 永遠鉄道
抜群のギターテクニックで ドラマティックに、熱く歌ってくださったお二人への拍手が鳴り止まない中、アンコール曲は昨年も歌ってくださった「GOD BLESS YOU」。
God bless you 神のみ恵みが
豊かにあなたの上に注がれますように
あなたの心と体と 全ての営みが守られ支えられ
喜びにあふれるように 私は祈ります
God bless you
God bless you
God bless you
「皆さんの上に 神様の祝福が豊かにありますように!」 今年もまた暖かな、岩渕ご夫妻の祝福のことばに送り出されて、皆さん、にこやかに家路につかれました。
閉演後、気さくにサインに応じる岩渕ご夫妻。人柄もお二人の大きな魅力です。
岩渕まことさん・由美子さんプロフィール
※以下のプロフィールは、2008年7月現在のものです。
岩渕まことさん(左)・由美子さん(右)ご夫妻
- 岩渕まこと
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1977年、日本コロムビアよりシンガーソングライターとしてデビュー。演奏活動以外に、CMソングやドラえもんの映画「のび太の宇宙開拓史」のテーマ等も歌っている。
1980年、クリスチャンとなる。長女を天に送る経験を通して生まれた曲「父の涙」は多くの方々に愛聴されている。 現在まで十数枚のCDを発表。教会でのコンサートの他に、ペトラストリートとのライブ活動や「歌声ペトラ」という新しい賛美歌を歌う会を開催している。 2004年9月ソロアルバム「ふたつのJ」をリリース。
2006年CD「HEARTSTRINGS」、2007年、詩画作家、星野富弘さんの詩を歌うCD「ぺんぺん草のうた」、「HEARTSTRINGS」の楽譜を出版。 2008年1月、デビューアルバム「スーパー・ムーン」がCDとして再発売。5月CD「横丁のジーザス」発売。 また河北新報の微風旋風というコーナーにコラムを執筆。横田早紀江さん作詞の「コスモスのように」を作曲。 「ぺんぺん草のうた」に続く第二弾の作品を制作中。
- 岩渕由美子
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1953年、宮城県生まれ。高校より親元を離れ、仙台のミッションスクールにて青春時代を過ごす。 当時、フォークソングが全盛期にあり、高校2年の時、「ミューズ」というバンドを結成し、リードボーカルを担当。そのバンドメンバーの中に、夫、岩渕まことがいた。
25歳で結婚、3児の母となる。その後、夫がイエス・キリストを信じ、続いて導かれ、1980年、夫と共に洗礼を受ける。 長女を天に送る体験を通して、神の豊かな慰めと励ましをいただき、赦されて生きる人生の素晴らしさを体験している。 最近は子供も手を離れ、夫と共にCD制作やコンサートの企画に携わり、招かれて夫婦で各地へ歌いにも出かけている。 2007年CD「ぺんぺん草のうた」をリリース。2008年5月10日、横田早紀江さん作詞、岩渕まこと作曲の「コスモスのように」を発売。
岩渕まことさんのホームページ「MAKOTO BOX」はこちら
( http://www4.plala.or.jp/iwabuchimakoto/ )