第20回チャペルコンサート
2006年 8月 5日更新
日時・場所 | 2006年 7月 9日(日)午後3時から、取手聖書教会にて |
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ゲスト演奏者 | 柳瀬 洋さん(クラリネット)・佐和子さん(ピアノ)ご夫妻 |
ラストナンバー「ガブリエリのオーボエ」が演奏された時には、会場の皆さんすっかり、クラリネットワールドに酔いしれていました
今年で20回目を迎えた、取手聖書教会のチャペルコンサート。今回もほんとうにたくさんの皆様においでいただきました。
今回の演奏者ゲスト、クラリネット奏者の柳瀬洋さんは、当教会のチャペルコンサートは三回目のご出演。 東京芸術大学卒、同大学院修了。その後ドイツ国立デルモルト音大へ進み、首席卒業。1983年第一回国際ブラームスコンクール最高位受賞。 日本を始め世界中で演奏活動を行っておられる演奏者です。
また、ピアノの奥様・柳瀬佐和子さんは、もともと作曲家志望で、13歳の時に書いた曲が横浜市中学生作曲コンクールにおいて最優秀賞を受賞するほどの才能をお持ちの方。 その後国立音楽大学作曲科卒業。アレンジャー&ピアニストとしても数々のレコーディングに参加しておられます。
会堂にあふれる豊かなクラリネットの響き…さすが国際コンクー最優秀者の演奏です。
最初は、メンデルスゾーンの有名な歌曲「歌の翼に」。甘く、豊かに響きだすクラリネットの響きに会堂が包まれました。
二曲目のクライスラーの書いた「シンコペーション」は、もともとがヴァイオリン曲ですが、その名のとおりのシンコペーションの弾むリズムに心が躍ります。 クラリネットの洋さんはもちろん、ピアノの佐和子さんのテクニックにも感激でした。
フランスの大作曲家ヴィドールによる「序奏とロンド」は、数少ないクラリネットのために書かれた本格的な作品。 随所にちりばめられたクラリネットの超絶技巧は息を呑む迫力!
ヴァイオリニスト柳瀬雄太登場!可愛い!うまい!…将来が楽しみです。
ここで、特別ゲスト、小学6年生のご長男雄太君がヴァイオリンで登場! バッハのヴァイオリン協奏曲第1番イの1楽章をお母様の伴奏で弾いてくれました。 巧みなボウイング、豊かな音色、ものおじしない舞台度胸はさすが“蛙の子は蛙”。 盛大な拍手の中、アンコールの声が上がり、照れながらも今度は、ヘンデルのヴァイオリンソナタを披露。将来が楽しみな音楽家の登場です。
名曲(?)「イマークライナー」のクライマックス!唖然!驚愕! ただただびっくり!
「熊蜂の飛行」はリムスキー・コルサコフの書いた曲。 どこで息継ぎをしているのかわからないほど、目にも留まらぬ熊蜂の動きを描写した演奏はただただ見事! (いったい、どこで息してたんでしょうね?)
前半の締めくくりはシュライナーが作曲した「イマー クライナー」。日本語にすると「だんだん小さく」。 クラリネットは5つの部分を一本につなげて演奏する楽器ですが曲が進むにしたがって、下の部分からはずし、文字通り「だんだん小さく」しながらしていく演奏に、場内から笑いとため息。 最後に吹き口だけで高らかにロングトーンで演奏を終えたときには、盛大な拍手!拍手!でした。
ご自身の作品「信頼」作曲のいきさつを語られる佐和子さん。サンデュグジュベリの「愛し合うとは見つめ合うのではなく、同じ方向を向いてともに歩んでいくこと」ということばを引用しての解説は心に響きました。
休憩の後は、アレンジャー柳瀬佐和子による日本歌曲のメドレーでスタート。 「ふるさと」、「赤とんぼ」、「浜辺の歌」…おなじみのメロディーに自然と歌詞を口ずさむ方も。
そして佐和子さん作曲の「信頼」という曲の解説を佐和子さん自らなさったとき、 サンデュグジュベリの「愛し合うとは見つめ合うのではなく、同じ方向を向いてともに歩んでいくこと」ということばを引用し、 神様というお方と信仰の信頼の糸で結ばれ、ともに歩むことの幸いを話してくださいました。 曲は「信頼」のことばにふさわしい心にしみる美しい旋律でした。
「恵みの雨」は友人のゴスペルシンガー、小坂忠さんの曲。 「神様の恵みは、雨のようにすべての人に豊かに注がれてます。そのことを知って、感謝して生きる人生は幸いです。」と、柳瀬さんは、自らの信仰の体験を通して語ってくださいました。
「キリストを通し神に愛されている自分を発見した時に、クラリネットが道具ではなく、音楽を奏で、神を讃える相棒に戻ってくれました」と語る柳瀬さん
中学でクラリネットに出会い、夢中で吹いているうちに音楽家になることを志して、芸大受験で上京。 でも、試験会場にいたライバルたちのうまさにびっくり!「うまいのは俺だけじゃなかったのか!」。不安な予感は的中して不合格…。 失意から立ち直ると、自宅に布団と毛布で防音室を作り、死にもの狂いでの練習の日々。 以来、いつの間にか自分にとってクラリネットは楽しい音楽を奏でる相棒ではなく、ライバルを蹴落とすための道具になってしまった、と当時を振り返って話してくださいました。
その間違いを根本的に正されたのはドイツ留学の時。憧れの教授に「私はあなたのテクニックを聞きたいのではない。あなたの心の中から沸いてくる音楽を聴きたい。」と指摘され、目の前の競争ばかりで、肝心のものを置き忘れてきたことに気がついても、どうやってそのキャップを埋めたらいいのか途方にくれたそうです。 そんな中、同じ音大に学ぶ日本人クリスチャンの家庭集会に招かれ、そこで自分を愛してくださる神様の存在を知り、その神様がご自分のひとり子、イエス・キリストの命と引き換えに、私の罪を赦し、愛して下さることを知ったそうです。そのときから、 クラリネットが競争の道具ではなく、心の音楽を奏で、神を賛美する生涯の相棒に戻ってくれました。」。 そう語られる柳瀬さんの顔は本当に輝いていました。その後、自分の音楽を評価してくださったその教授のすすめで出場した「第一回国際ブラームスコンクール」の優勝者に。 そして、その後は教会を中心とした演奏活動と、後進の指導に励んでおられるそうです。
アンコールは、佐和子さんアレンジによる有名な讃美歌「いつくしみ深き友なるイエスは」。
そして演奏は、キリストの十字架のさまを描いた黒人霊歌「君もそこにいたのかと「黄金のエルサレム」と続き、最後の曲は映画音楽の巨匠、エンリコ・モリコーネによる「ガブリエリのオーボエ」。 これは映画「ミッション」の中で、オーボエを片手に、キリストの愛を伝えにアフリカに渡ったガブリエリ神父のテーマ曲。 「自分もこれからも、このクラリネットを相棒に、神様の愛を伝えていきたい。」そうお話を締めくくられ、演奏された会場に響く甘く、切々とした響きは今も耳から離れません。
鳴り止まない拍手の中、アンコールは、佐和子さんアレンジによる有名な讃美歌「いつくしみ深き友なるイエスは」。 あっという間の一時間半は、本当に音楽と神様が与えてくれる幸せな時間でした。
鳴り止まぬ拍手の中のご挨拶 終始照れ気味の雄太君が可愛かったです